ヤングエースで2012年から連載されていた
人気漫画「僕だけがいない街」(作者:三部けい)について
感想(レビュー)を語ると同時に
「僕だけがいない街」の素晴らしさや学びを得られる点
などを話していきたいと思います。
(極力ネタバレのない形で話をしていますが、紹介上、若干のネタバレがある点はご容赦下さい)
また「僕だけがいない街」はどのあたりが特徴的なのか?
どのあたりが面白いところなのか?
「僕だけがいない街」の魅力なども語っていきたいと思います。
Contents
今回取り上げる漫画は
「僕だけがいない街」
です。
「僕だけがいない街」は2012年に連載開始されて、2016年に連載が終了した漫画です。
『ヤングエース』というマイナー中のマイナー雑誌で連載されていたので
(ヤングエースさん、すいません)
普通だと日の目を見ないような作品なんですが
この漫画の素晴らしい内容が受けて
2015年には小説化
2016年にはテレビアニメ化
2016年には映画化
と、他のメディアに進出し、一気に知名度を上げた漫画です。
また
『このマンガがすごい!2014』 オトコ編 第15位
『マンガ大賞2014』 第2位
と賞を受賞するなど、高い評価を受けてきた漫画です。
とはいえ、「僕だけがいない街」を知らない人もいると思うので
最初に「僕だけがいない街」のジャンルについて説明をしておきましょう。
この漫画のジャンルは「サスペンス漫画」です。
サスペンス漫画というと
「バトルロワイアル」とか「デスノート」のような
ちょっとホラーがかった漫画を思い浮べる人が多いかもしれません。
(左:バトルロワイアル 右:デスノート)
ただ、この「僕だけがいない街」はそういった漫画とは全く違う
「殺人事件を中心としたサスペンス漫画」
です。
「名探偵コナン」や「金田一少年の事件簿」のように
主人公が探偵で事件を解決していく漫画ではなく
殺人事件に巻き込まれるうちに事件解決に向けて主人公が動き出す
というタイプの漫画になっています。
(左:名探偵コナン 右:金田一少年の事件簿)
「僕だけがいない街」の素晴らしい点は後ほど説明をしていきますが
「丁寧に作り込まれた作品」
という感じなんですよね~
そんな「素晴らしい」と評価の高い漫画である
「僕だけがいない街」について、魅力を存分に語っていきましょう。
「僕だけがいない街」のネタバレ・あらすじについては
以下のリンクを参照してください。
ここではネタバレなしで「僕だけがいない街」の感想・レビュー
そして、素晴らしさを語っていきますのでお付き合い下さい。
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「僕だけがいない街」はどんな作品?
「僕だけがいない街」はヤングエースで連載されていた人気漫画です。
ジャンルはサスペンス漫画
作者は三部けい
コミックスは全9巻が発刊されています。
作者:三部けい
出版社:KADOKAWA
掲載誌:ヤングエース
掲載期間:2012年6月~2016年3月
巻数 全9巻
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「僕だけがいない街」の概要とあらすじ
主人公の藤沼悟(ふじぬま さとる)は漫画家の卵として
バイトをしながら、漫画を投稿する毎日を過ごしていました。
藤沼悟は内気で協調性がなく、いわゆるイケていない人間ですが
そんな藤沼悟にはある特殊能力がありました。
その能力とは
「時間を巻き戻すことが出来る」
という事です。
悟はこの能力は「再上映(リバイバル)」と名付けていました。
この悟の特殊能力(リバイバル)は誰かしらが命の危険に晒された時に発動する能力で
命の危険に晒されないようになるまで何度も繰り返されるので
悟は面倒だと理解しながらも「再上映(リバイバル)」が始まると
人の命を救うために尽力していました。
ある日、悟と自分の母親である藤沼佐知子(ふじぬま さちこ)と
一緒に外出をしていた際にリバイバルが起こります。
いつもは何が原因かを突き止めてリバイバルを終了させる悟ですが
今回のリバイバルについては原因が分からないままリバイバルが終了します。
その夜、自分の家に泊めていた母親の佐知子が
何者かに殺されるという事件が起こります。
ここで悟ははじめて
自分の母親が顔見知りである誘拐犯の犯行を目撃した事で
誘拐事件を防いだことを知ります。
犯人にはめられて、母親殺しの濡れ衣を着せられる悟
警察に追い詰められて絶体絶命となった悟にリバイバルが起こります。
リバイバルで戻った先は18年前の小学生時代。
悟はなぜ自分がなぜ18年前に戻ったのか分からず、混乱しますが
18年前に悟の地元で起こった児童連続殺人事件と
今回の佐知子殺害事件が関係ある事に気づいていきます。
果たして悟は佐知子を殺害した犯人を捕まえる事が出来るのか?
18年前に行われた児童連続殺人事件を防ぐことができるのか?
タイムワープというSF要素を取り込んで、
複雑に絡み合った殺人時間を解決するべく奔走して
スリル溢れる展開で物語が進行するサスペンス漫画の傑作
全体の概要・あらすじはこんな感じです。
タイムトリップものの漫画は今までにも結構あるんですけどね~
「僕だけがいない街」の場合はこの設定に頼ってばかりのエセSF漫画にはなっておらず
スリル満点のストーリー展開を見せてくれています。
あらすじをざっくり話してみたんですが
このあらすじの中にも多くの伏線と
きめ細かな描写が入り込んでいるんですよね~
レビュー記事を書いていて、改めて完成度の高い漫画だなぁ
と、感心させられるんですが
そんな「僕だけがいない街」の素晴らしさとを語っていこうかなと思います。
「僕だけがいない街」のここが凄い!
ちょっとネタバレさせることで、話の緊張感が倍増!
「僕だけがいない街」は主人子の藤沼悟が「再上映(リバイバル)」という
特殊能力を持っている事で過去に戻れるという設定を作っています。
現実の世界(2006年の世界)で母親を殺されてしまった悟は
リバイバルで18年前(1988年)に戻ったことで、
児童連続殺人事件が関係あると気づき
この殺人事件を防ごうとするのですが
この中途半端なネタバレ感がめちゃくちゃスリリングなんです。
児童連続殺人事件では3人の児童(悟の同級生2名を含む)が殺されています。
という事は、もう殺される人が分かっているんですよ。
だから、最初に殺される児童(雛月 加代)を守るために
悟と色々な手を講じていく訳ですが…
雛月加代が殺されるXデーが迫るにつれて緊迫感が増してくる訳です!
母子家庭で加代を虐待する母親が加代を殺したのか?
「いや、違う!」
母親に連続で児童を殺す動機はない
「じゃあ、誰なんだ!」
しかも、どうやって加代を連れ出したのか?
悟がとった行動で本当に加代は救われたのか?
読めば読むほどに漫画から離れられない
このスリルは「僕だけがいない街」の醍醐味です。
誰が殺されるか分からないパターンもスリリングですけど
殺される人間が分かっていて、それをどう防いでいくのか?
という展開はタイムトリップという設定を最大限に活かしたストーリーで
まさに「素晴らしい」の一言です。
結論が分からない事がスリルを生むと思っていたんですが、そうじゃないんですね~
「結論が分かっている」という現実を生かして
これだけスリリングなストーリーを作る事が出来るんですよ。
作者の三部けいさんの構成力に感服です。
とにもかくにもストーリーの構成力が素晴らしい!
「僕だけがいない街」がプチネタバレをする事で、
スリリングなストーリーを作っている
という事は先ほど話した通りなんですけど
「僕だけがいない街」はとにかくストーリーの構成力が素晴らしいんです!
最初にあらすじで母親殺害から18年前にタイムトリップした話をしましたが
かなり間を端折って説明をしています。
他の漫画についてもレビュー記事であらすじを説明しているんですけど
ここまで端折らなくちゃいけなかったのは「僕だけがいない街」だけです。
ヒロインとして登場してくる片桐愛梨(かたぎり あいり)についても
何にも触れられなかったですし
悟のよき理解者として事件解決を手伝ってくれる小林賢也(こばやし けんや)や
小学校時代の担任教師で色々と相談に乗ってくれる八代学(やしろ がく)など
「僕だけがいない街」を語る上で重要となる人物についても語れず…
なぜ、あらすじの段階でこれらの人物を端折らなくてはいけないかというと
「物語が濃い」
からです。
それだけ一つ一つの設定や描写がとにかく練り込まれています。
伏線といえるほど、大々的に物語を捻ってはいないのですが
一つ一つの行動や事象にはちゃんと理由づけがされているので
スッと物語に入っていけるし、どんどん読み進めていけます。
「僕だけがいない街」を読むなら全巻一気読みがオススメですよ。
漫画を読み始めると一気に物語に入りこんでしまうので
途中で止めると続きが気になって仕方がないですからね~
それだけのしっかりしたストーリー構成になっています。
「僕だけがいない街」の全体評
「僕だけがいない街」はタイムトリップという
SF的な要素を取り入れながら、本格的なサスペンス漫画に仕上がっています。
作り込まれたストーリーと丁寧に描かれた設定は
他の漫画と比較しても類をみないくらいに素晴らしく
“サスペンスの名作”
と言える仕上がりになっています。
サスペンス漫画好きはもちろん、完成された漫画が好きな人には
絶対に読んでほしい素晴らしい漫画に仕上がっています。
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